【Weekly企画】真・桃太郎 その4 2003.08/11p.m.7:00

真・桃太郎 その4  O氏

その3のつづき

「おとーさーん、キジがかえってきたよー」
一番上の息子が走ってくる。
「ああ、家を開けて入れてあげなさい。お父さんも後からいくから。」
「わかったー」
息子は家に向かってまた走り出す。あっ、こけた。おや、泣かずに立ち上がったぞ、えらいえらい。
俺は急いで仕事を片付け家に向かう。
家の中ではイヌが一番下の息子とじゃれあっていた。
「キジさんなら机の上にいるよ。」
4つになる娘が足をひっぱって言う。どうやらかまって欲しいようだ。
「よいっしょ。」
娘を肩車して家の奥に向かう。
「おう、桃太郎の旦那。」
キジが俺の心に直接話し掛ける。
「お疲れ様。おじいさんとおばあさんは元気だった?」
「ああ、元気だったよ2人とも。返事もこの通りもらってきた。それにしても相変わらず親馬鹿してるなぁ、お前さんは。」
そう言ってキジは首に巻いていた手紙をはずす、それにしてもいつの間にかこのキジも親父臭い話し方をするようになってものだ。
「ありがとう、それにしても喋りがどんどん下品になってきてないかい?」
「そういうあんたも昔みたいに私って言ってみたらどうだ? すっかり変わっちゃって、あの手紙だって書くのえらい苦労してたじゃないか。」
「ははははは。」
「ははははは。」
私たちは笑い出す。
「ねぇねぇ、お父さんとキジさんは何のお話してるのぉ?」

キジ、イヌ、サル、彼らは私の最良の友だ。あの鬼ヶ島からこの子達を連れて海に出たときもこの地を見つけてくれたのもキジだし、イヌも狩りを手助けしてくれる。サルも島に残って村のみんなを騙してくれた。
俺は今、6児の親としてがんばっている。今までになかった幸せで充実した日々だ。俺たち家族以外にここに人はいないが、子供たちは皆私をかつての村人みたいに特別視しない。わたしはここで本当の幸せを見つけたのだ。
【真・桃太郎 完】

さてさて、weekly用に短縮してみました【真・桃太郎】いかがでしたでしょうか?
ちょっとありきたりっぽいところもありますが(鬼が実は白人だったあたりとか、キジが手紙を運んだ辺りとか)、1人の一見村の英雄で幸せそうな少年(だが本人は不幸)が、本当の幸せを見つけるこの物語。
確かに明るい話とは全然違いますが、こういうお話もありだと思います。
鬼と思っていたとはいえこの子達の親を殺した桃太郎、そして贖罪の意味を少なからず含めて子らを育てる親。うーむ、この先に「実は君らの親、僕が殺しちゃったんだ(ボソ」なんて自白してみたり、生き残りの鬼が現れて桃太郎を倒そうとするが仲良く育てられた子らをみてその気を無くしたりするお話とか、うーーーん、なんでもありですねぇ。いろんなように発展できます。ムフッ ←下品

ではでは、そろそろお開きにさせてもらいます。長いこのお話読んでいただいてありがとうございます。

BY.O氏

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